ちょっといい話

● 浜辺の足跡
● そこにいる
● クリスマスの笑顔
● どうかあなたとご家族の皆様に
▼ 小さな物語

インドのある水汲み人足は二つの壷を持っていました。
天秤棒の端にそれぞれの壷を下げ、首の後ろで天秤棒を左右にかけて、彼は水を運びます。
その壷の一つにはひびが入っています。
もう一つの完璧な壷が、小川からご主人様の家まで一滴の水もこぼさないのにひび割れ壷は人足が水をいっぱい入れてくれても、ご主人様の家に着く頃は半分になっているのです。
完璧な壷は、いつも自分を誇りに思っていました。何故なら、彼が作られたその本来の目的を、彼は常に達成する事が出来たからです。
そして、ひび割れ壷はいつも自分を恥じていました。何故なら、彼は半分しか達成する事が出来なかったからです。
二年が過ぎ、すっかり惨めになっていたひび割れ壷は、ある日、川のほとりで水汲み人足に話しかけました。
「私は自分が恥ずかしい。そして、あなたにすまないと思っている。」
「何故そんな風に思うの?」水汲み人足は言いました。
「何を恥じてるの?」
「この二年間、私はこのひびのせいで、あなたのご主人様の家まで水を半分しか運べなかった。水が漏れてしまうから、あなたがどんなに努力をしても、その努力が報われることがない。私はそれが辛いんだ。」壷は言いました。

水汲み人足は、ひび割れ壷を氣の毒に思い、そして言いました。
「これからご主人様の家に帰る途中、道端に咲いてるきれいな花を見てごらん。」

天秤棒にぶら下げられて丘を登っていく時、ひび割れ壷はお日様に照らされ美しく咲き誇る道端の花に氣付きました。花は本当に美しく、壷はちょっと元氣になった氣がしましたが、ご主人様の家につく頃には、また水を半分漏らしてしまった自分を恥じて、水汲み人足に謝りました。

すると彼は言ったのです。「道端の花に氣付いたかい?花が君の側にしか咲いていないのに氣付いたかい。僕は君から零れ落ちる水に気付いて、君が通る側に花の種をまいたんだ。
そして君は毎日、僕たちが小川から帰る時に水をまいてくれた。この二年間、僕はご主人様の食卓に花を欠かした事がない。君があるがままの君じゃなかったら、ご主人様はこの美しさで家を飾ることは出来なかったんだよ。」


このページはヴォルテックス・メルマガ「感動と癒しの最前線」から転載しています。

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